食後すぐ歯を磨いた方が良いの?
2023/10/30
こんにちは。今回は「食後すぐに歯を磨いた方がよいのか」についてお話しさせていただきます。
答えは、「YES」です。
日頃患者さんと向き合う中で、「食事後にすぐ磨くと歯を痛めてしまうのではないか」と聞かれることがあります。
確かに、食後すぐ歯を磨くと歯の表面が傷つくという内容が示されている論文が一部存在します。
これは「歯の象牙質」の酸に対する抵抗性を調べたもの実験についての論文です。
実験では炭酸飲料に象牙質の破片をつけると、象牙質が弱くなることが示されています。
炭酸飲料は酸性であり、Ph5程度です。歯にダメージが出やすくなるPhは5.5以下といわれていますので、炭酸飲料を飲むと歯の表面が溶けて傷つきやすくなります。
Phは引くければ低いほど酸性度が強く、歯へのダメージも現れやすくなります。
さらに、ダメージを受けた象牙質の破片を30分以上口に含んでいると、唾液の作用で象牙質が再び強くなることが示されています。
他液には「緩衝作用」があり、酸を中和してくれるという働きがあるのです。
実験の結果から、食後30分以上してから歯を磨いた方がよいといわれるようになったのですが、実際のお口の中は実験室とは環境が大きく異なります。
象牙質の周囲には、象牙質よりはるかに頑丈なエナメル質があり、象牙質を保護しています。
また、炭酸飲料のような酸性の食べ物飲み物ばかりいつも食べているわけではないことが多いです。
こうしたことを考慮し、食後すぐに歯を磨くことで歯を傷つけてしまうのはとても小さなリスクといえます。
むしろ、お食事後すぐに歯を磨くことで、口の中の汚れを落とし、虫歯菌や歯周病菌が繁殖しにくい環境を作るメリットの方が大きいと言えます。
あるいは、時間を気にするあまり、歯みがきするタイミングを失ってしまうようであれば、食後すぐ磨いて少しでも長くお口の中を清潔な環境にする方がトラブルを防ぐことができます。
お食事後は歯を磨く習慣をつけるとよいですね♪